私の購入第1候補のモトグッチィV85TTを試乗してきました。
モトグッチィというと縦置きVツインの独特な乗り味と個性です。
しかし、V85TTはグッチィの個性よりも乗りやすさ追及したユーザーフレンドリーなバイクでした。
きぴろのスペック
- 身長159cm
- 体重55kg
- 股下72cm
女性の平均的な体型に近いです。
今回試乗したV85TTはフルノーマル
今回私が試乗したV85TTはローダウンやロングスクリーンを取り付けていないフルノーマルでした。もちろんパニアも無しです。
詳細スペックは調べるといくらでも出てきますので、割愛させていただきます。
写真はテンションが上がってしまい、この1枚しか撮れてていません。
なので写真は無しです。(すみません)
V85TTインプレッション
デザインやスペックなど見て分かることではなく、乗らなければ分からないことを書いていきたいと思います。
さらにバイクショップオーナーにしか知り得ない情報なども教えていただいたので、合わせて紹介致します!
気に入ったところ
- トラコンがよく効いていて快適に走れる
- クラッチなどの操作系が軽く、ギアボックスもスムーズ
- 下道なら回転数は2000rpm以下で十分
- 乗車姿勢はかなり楽
- 重さや重心の高さは気にならない
- シャフトドライブのメンテナンスのしやすさ
- オプション部品が純正交換部品より安い
- 車検料金や維持費は日本車とほぼ変わらない
- メイドインイタリアでも故障は実は少ない
気になること
- モトグッチィらしさは全くない
- 事前情報無しでは操作方法は全く分からない
- 走行モードを変更してもほとんど変化は感じられない
- フロントブレーキが効きすぎる
- TFTメーターの位置が低く見にくい
- 足は全くつかない
- 標準のスクリーンはほとんど機能しない
- 足回りの防風性能はそこそこ
ちなみに他のサイトや海外のレビューでもよく言われている「モトグッチィらしさが全くない」という表現は大袈裟ではありませんでした。
ですが、これにはちゃんと意味があってやっているのです。詳しいことは後述します。
V85TTの気に入ったところ
トラコンがよく効いていて快適に走れる
トラクションコントロールと聞くとタイヤが滑らないように抑制するイメージですが、トラコンはそれだけではありません。
大まかに2種類あり、スポーツ走行のための物とユーザビリティのための物に分けられます。
V85TTはユーザビリティのためのトラコンがかなり介入します。
そのためスロットルをいきなり開けたり、かなり雑な運転をしてもかなり快適に走れます。
運転操作に必要以上に気を使わなくても良いのです。
V85TTはモトグッチィのこの排気量クラスだとダントツのパワーを持っています。
しかし実際に乗ってもそのパワーを感じられないのはトラコンのしわざです。
トラコンをOFFにするとそのパワーを余すことなく感じることができますので是非お試しください!
ちなみにトラコンやABSなどはメニュー画面から簡単にOFFにできますので、好みで使い分けができます。
空冷エンジン特有のレスポンスの遅さも、トラコンで再現されているような感じがしました。
実はそれほどレスポンスの遅いエンジンではないのかもしれませんね。(トラコンOFFにするとすごいので(語彙力)
クラッチなどの操作系が軽く、ギアボックスもスムーズ
まず乗って一番最初に驚くことは異常なまでに軽いクラッチです。
人によっては"ふにゃふにゃ"と例えられますが、私はとても気に入りました。
バイクショップオーナー曰く「国内国外の排気量問わず、あらゆるバイクの中で最も軽いクラッチ」と言っていました。
「アドベンチャーバイクなのにクイックシフターがないのはちょっとな〜」と思っていましたが、クイックシフターはいらないと思うくらいクラッチ操作が楽です。
その他にもブレーキやシフトペダル、スロットルの操作も大型バイクとは思えないくらい軽いです。
ただ、あまりにも軽すぎてシフトチェンジした感覚がほとんどないのです。
でもそれにはちゃんと理由があるのです。("モトグッチィらしさが全くない"で記述)
下道なら回転数は2000rpm以下で十分
空冷Vツインということで高回転型のエンジンではありませんが、低回転のトルクはバッチリあります。
どれくらい低回転で走れるか試したところ、下道ならアイドリング+200回転くらいで十分でした。
ぶっちゃけてしまうと発進さえしてしまえば、どのギアでもアイドリングでスムーズに走れます。
V85TTのパワーとトラコンも相まってでしょうが、スロットルを回さなくても普通に走れるとは驚きでした。
乗車姿勢はかなり楽
アドベンチャーモデルなだけあって走行中の乗車姿勢は非常に楽です。
少し古いスタイルなのでシート前方に座るイメージではなく、後方に座ってもゆったりとした姿勢になります。
明らかに腕の長さが足りていない私でも、シート後方に座ってゆとりを持ってハンドルを握ることができました。
とはいうもののシート前方に座ったとしても、最近のバイクほど絞られていないので面積は大きくお尻は楽です。
シートは柔らかすぎず、沈み込むような不快感はありません。
表皮については良くできていて、お尻の荷重がかかる部分は滑らないような加工がしてありますが、太ももが接触する部分は滑りやすくなっており足の操作がしやすくなっていました。
重さや重心の高さは気にならない
試乗まえから気になっていたことなのですが、乗ってみると意外と気になりませんでした。
とはいうものの他のアドベンチャーバイクに比べてですが。
試乗車だというのに立ちゴケをしてしまいそうになったのですが、全然普通につま先で支えらました。
ローダウンをしてしっかり足がつくようになれば、怖いと思うことは無くなるかなと思います。
取り回しも想像よりは遥かに楽でしたね。4気筒400ccとそれほど変わらないくらいの感覚です。
シャフトドライブのメンテナンスのしやすさ
シャフトドライブ特有のメンテナンスフリーが素晴らしいです。
30,000kmにファイナルギアのオイル交換をするだけです。
特殊な工具も必要ありません。
雨の走行後や定期的なオイル注入も必要ありません。
エンジンオイル交換と行程は全く同じです。
さらに言うとギアオイルも非常に安いです。
1Lで1,500円程度で売られており、1回の交換で大体300mlなので300円。
メッキチェーンが約30,000円なので100分の1の価格でメンテナンスができるんですね。
オプション部品が純正交換部品より安い
このV85TTオプションのグリップヒーターの価格は25,000円程度です。
このオプションのグリップヒーターには左右のスイッチボックスごと交換になるのですが、スイッチボックスもグリップヒーターの料金の中に含まれています。
ですが、スイッチボックスを単体で購入すると40,000円弱なのです。
価格設定間違えてしまったんじゃないかと思いましたが正しいそうです。笑
故障した時などに純正部品を購入するよりも、オプション部品を取り付けてしまった方が安くなることが多いらしいです。
ピアッジオグループ独特の販売体制らしく、オプションで付けられるものは付けた方が絶対にお得なんだそうですよ。
アプリリアやベスパなどの他ブランドでも同様です。
車検料金や維持費は日本車とほぼ変わらない
そんなこともあってか、実は車検の金額は日本車とそれほど変わりがないそうです。
お店によっても変わってきますが、10万円程度に収まるようです。
維持費もそれほど変わらないのは、消耗部品の交換時期も国内車と相違ないことも挙げられますが、実は噂ほど故障はしにくいんだそうです。
メイドインイタリアでも故障は実は少ない
「国外車は壊れやすいという印象は実は噂の範疇でしかない」とバイクショップオーナーさんが言っていました。
整備士から見て(台数の多い)国内車のトラブルは忘れがちだけど、(台数が少ない)国外車のトラブルは覚えていることが多いので壊れやすい印象になっているらしいです。
つまるところ、覚えているか覚えていないかの問題のようですね。笑
実際に私は国外車を所有したことが無いので真相はわかりませんが、思い返してみれば国内車でもトラブルや故障はそこそこありました。
電子制御モリモリのヤマハのバイクに乗っていた時は、いつエラーを吐いて走らなくなるか不安で仕方ありませんでしたし…
V85TTで気になったところ
モトグッチィらしさは全くない
縦置きVツインの振動や音、トルクリアクションなどモトグッチィらしさの個性は全く感じられませんでした。
「これはモトグッチィではない!」と言う人が多いのも頷けます。
しかし、このように個性を消しているのにはちゃんとした理由があるのです。
例えば振動や音、トルクリアクションなんかは以前から消すことは十分に可能だったらしいのですが、あえてそれを全面に押し出すのがモトグッチィですよね。
このV85TTはあくまでアドベンチャーとして「最新技術で極限まで乗りやすくする」というのがコンセプトなんだそうです。
なのであの異常なほど軽いクラッチやシフト、介入度の高いトラコンも全て乗りやすさのためなのです。
音も振動もトルクリアクションもかなり消滅していて、モトグッチィのクセのあるバイクとは言えませんね。
モトグッチィの乗り味を求めている人には向かないということは間違いないと断言します。
事前情報なしでは操作が全く分からない
V85TTはボタンが少なく操作はしやすいのですが、どのように機能にアクセスするのかは知らなければ絶対に使えません。
例えばクルーズコントロールをするためには、左手のクルーズボタンを2秒長押ししてスタンバイさせ、上下で速度を設定し、再度ボタンを短く押すことでやっとONになります。
走行モードの変更は右手のモードボタンではなく、セルスイッチを二度押しでモードが変わります。
なんでモードボタンがあるのに使わないんだと思わずにはいられません。笑
覚えてしまえばアフリカツインやR1250GSよりは格段に簡単なんですけどね。
走行モードを変更しても変化は感じられない
ROAD、RAIN、OFFROADの3種類あるのですがどれを使っても違いが分かりませんでした。
具体的にはトラコンの介入度やABSの有無、スロットルレスポンスが変更されるのですが、どれを使っても同じに感じたんですよね。
もっと極端に路面状況を変えて実験しなければ気が付かないのかもしれませんが、一般道で劇的に変化するようなものでは無いですね。
フロントブレーキが効きすぎる
ブレンボ製のキャリパーをデュアルディスクで使っているのですが、効きが良すぎてリアが浮きそうなりました。
おそらく軽い操作で止まれる=快適ということなのでしょうが、初見で他のバイクのようにブレーキをかけると最悪ひっくり返ります。
一度理解してしまえば、それほど問題ではありません。
TFTメーターの位置が低い
他のアドベンチャーバイクのメーター類は目線に近い高さまであるのですが、V85TTはネイキッド並みに視線を下ろさないと見えません。
情報量がそこそこ多いメーターなので、走行中に視線を下ろして凝視するのはちょっと危険かなと思いました。
足は全く付かない
きぴろのスペックは最初に書いたように身長159cm、股下72cmです。
V85TTはADVの中でも足つきが良い部類と言われていますが、私は全然つきません。
シートの真ん中に座っている状態で両足とも地面に届きませんでした。
足裏をしっかりつけようものなら、お尻がシートから半分落ちている状態になります。
ですがローダウンサスペンション、ローダウンシート、フォーク付きだしで最大8cm程落とせるらしく、身長158cmのおじさんでも両足つま先立ちができるくらいになるとのことでした。
標準スクリーンは機能していない
標準でスクリーンはついていますが、スクリーンが無いのと同然くらい風は当たってきます。
長距離を走るならロングスクリーンは必需品です。
足回りの防風性はそこそこ
張り出したタンクとVツインがあってか、足に当たる風はそこそこ防ぎます。
ですが、風の巻き込みやタンクとシリンダーの隙間など、なんやかんや結構足側面に風を感じます。
アドベンチャーならもう少し防風性が欲しかったなと思いました。
やっぱり防風性についてはBMWのGSシリーズには勝てない。
まとめ
実はなんとR1250GSからV85TTに乗り換える人が結構いるらしいです。
その理由は「R1250GSは重すぎて、いらない機能がたくさんある」らしくV85TTが機能的、総評的にもちょうど良いサイズ感だからということでした。
気に入ったところ
- トラコンがよく効いていて快適に走れる
- クラッチなどの操作系が軽く、ギアボックスもスムーズ
- 下道なら回転数は2000rpm以下で十分
- 乗車姿勢はかなり楽
- 重さや重心の高さは気にならない
- シャフトドライブのメンテナンスのしやすさ
- オプション部品が純正交換部品より安い
- 車検料金や維持費は日本車とほぼ変わらない
- メイドインイタリアでも故障は実は少ない
気になること
- モトグッチィらしさは全くない
- 事前情報無しでは操作方法は全く分からない
- 走行モードを変更してもほとんど変化は感じられない
- フロントブレーキが効きすぎる
- TFTメーターの位置が低く見にくい
- 足は全くつかない
- 標準のスクリーンはほとんど機能しない
- 足回りの防風性能はそこそこ
購入そして納車されましたので、そのまま1000kmのならしツーリングをしてさらに気づいたことをインプレッションをしましたので合わせてお読みください!
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V85TT納車即日1000kmインプレッション
前回V85TTの試乗インプレをしましたが、そこで私は「買います」と宣言しました。 そして、2020年11月末に納車していただきました。 そして納車した次の日、そのまま1000kmのならし ...
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