前回V85TTの試乗インプレをしましたが、そこで私は「買います」と宣言しました。
そして、2020年11月末に納車していただきました。
そして納車した次の日、そのまま1000kmのならしツーリングをしてきました。
1000km乗ったきぴろ的クイックインプレッションをしていきます!
目次
V85TTインプレッション結論
まず最初に結論から言いますと…
V85TTはアドベンチャーバイクではない。
でもツーリングバイクとしてはライバル不在。
各メディアはアドベンチャーバイクと紹介していることが多いので勘違いされがちですが、明らかにアドベンチャーに分類されません。
ではV85TTはどんなジャンルに分類されるかというと、これはトレールバイクに近いのではと思います。
新しくジャンルを命名するなら「ツアラー風トレールバイク アドベンチャーを添えて」でしょうか。
公式がアドベンチャーバイクとして売り出してないので、アドベンチャーではないことは間違いありません。
V85TTがアドベンチャーバイクではない理由
私がV85TTをアドベンチャーバイクではないと感じた理由は「アドベンチャーバイクとしての機能の全てが中途半端」の一言に尽きます。
その機能というのを箇条書きすると以下のようになります。
- フロントカウルがない
- サスペンションのストロークが短い
- そもそも空冷エンジン
- なので長距離に向いていない
海外のレビューを見ても「V85TTはアドベンチャーバイクとは言えないかも…まぁ個性を出したいならイイんじゃないかな:)」という感じです…
完璧なアドベンチャーバイクを求めている人には向いていませんね。
では私はというと、
お待たせしました、ここからは私のインプレです。
V85TTを1000km乗ったクイックインプレ
試乗インプレで大体のイメージは掴めましたが、やはり1000kmも乗ると感じられるものがあります。
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きぴろ的V85TT試乗インプレ
私の購入第1候補のモトグッチィV85TTを試乗してきました。 モトグッチィというと縦置きVツインの独特な乗り味と個性です。 しかし、V85TTはグッチィの個性よりも乗りやすさ追及したユーザーフレンドリ ...
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そこで今回気づいたところや、1000km乗ってイメージが変わったことを紹介します。
良いところ
- 足つきは頑張ればなんとかなる
- 走行モードのレインが走りやすい
- 小回りが効く
- よく曲がる(バイクが寝る)
- バイクに乗せられてる感が無い
- 無給油で連続走行可能距離が500km程
- ブランドによる心の盾ができる
- めちゃくちゃ見られるし声をかけられる
悪いところ
- 防風性の甘さ
- 引き起こしがめちゃくちゃ大変
- 低速時と停車時の不安定さ
- ギアポジションがクラッチを切ると見えない
私は粗探しのつもりで1000km乗ったわけですが、悪いところがほとんどなく自分でもビックリしています。
それでは一つずつ解説していきます!
V85TTの良いところ
足つきは頑張れなんとかなる
きぴろのスペック
- 身長159cm
- 体重55kg
- 股下72cm
女性の平均的な体型に近いです。
お世辞にもバイクに向いてるとは言えない体型です。
なんと私はV85TT納車日から、たった2日という短い期間で3回も押しゴケをしています。
しかし倒したのはバイクの押し引きの時だけです。
乗っている時に立ちゴケはまだ一度もしていません。
というのも私のV85TTに行ったローダウンは
- ローシートに変更
- シートあんこ抜き加工(ガッツリ)
- ローダウン用リアサスペンションに変更
- フロントフォーク突き出し
合計して約80mmもダウンしています。
この状態で両足ツンツン(バレリーナ状態)になります。
バイクに乗りながら足で動かすことはできませんが、止まる発進することは難なく可能です。
では、なぜ押し引きの時に倒したのかというと重心の高さに原因があります。
こちらは"小回りが効く"で解説します。
走行モードのレインが走りやすい
V85TTには「ロード」「レイン」「オフロード」の3つの走行モードがあります。
前回の試乗インプレで私は「モードを変えても分からなかった」と書きましたが、さすがに1000kmも乗れば分かる様になりました。
この3つのうちレインはスロットル開度がコンピュータ側でゆっくりになるので、雑にスロットルを捻ってもスムーズに加速していきます。
これが本当に楽で私はモードを常に「レイン」にして走行しています。
小回りが効く
ハンドルの切角が大きく、さらにホイールベースが非常に短いため小回りが効きます。
小さなスペースでUターンができるので良いですね。
体感では250ccのフルカウルよりも小回りが効くんじゃないかと思うほどでした。(CBR250R比較)
ただし重心がめちゃくちゃ高いので、押し引きの時に左右にフラついた瞬間おしまいです。
こればかりはフラつかないように慣れるしかありません。
よく曲がる(バイクが寝る)
今まで「このバイクはよく曲がる!」というインプレを見て、なんじゃそりゃと思っていました。
ですがV85TTに乗ってその意味が理解できました。
とはいうものの多分これは皆さんが思う「よく曲がる!」とは違うかもしれません。
V85TTは先ほど書いたように重心がめちゃくちゃ高いので、全く力を入れずに車体が寝てくれます。
カーブを終えてバイクを起こすのも楽。
バイク界隈でよく耳にする「ヒラヒラ」とはこのことですかね。
しかもエンジンが縦置きということでギアの回転軸が進行方向となり、直進安定性が増します。
残念ながら私の経験不足で感じることはできませんでしたが、走る曲がる中で怖いなと思う瞬間は一切ありませんでした。
V85TTならスラロームで良いタイムが出せそうなほど、よく曲がります。
バイクに乗せられている感がない
ビッグアドベンチャーにありがちな「バイクに乗せられている感」というのはV85TTでは感じませんでした。
電子制御の介入が少ないからですかね。
車体も大きすぎないので人が埋まっている感も無いです。
無給油で連続走行可能距離が500km程
V85TTの実燃費が19〜22km/Lでしたが、東京都内のストップアンドゴーが多いところを含めた状態です。
高速道路や峠道などストップが少ないところでは30km/L前後になります。
タンク容量は21L
長距離ツーリングがメインとなるのであれば無給油で500kmは余裕で走ることができます。
市街地を含めても400kmは確実です。
ただしメーターの燃費計はあまり当てにはなりませんのでご注意を。
ブランドによる心の盾ができる
例えばリッターSSが真横に並ばれても「まぁモトグッツィはそういう(早い)バイクじゃないから関係ねえや!」となるのです。
またBMWのR1200GSが隣に来ても「まぁモトグッツィV85TTは厳密にはアドベンチャーじゃないから張り合う意味ないや!」
最初に書いた"V85TTアドベンチャーとは言えない"というところで他のアドベンチャーバイクと張り合う気も全くないです。
煽られても「まぁモトグッツィだからどっしり構えていれば良いよ」(若干無理があるけど)
モトグッツィという唯一無二のスタイリングによって張り合う相手がいないので、無駄な闘争心が芽生えず気疲れしません。
めちゃくちゃ見られるし声をかけられる
ツーリング先で休憩をしていると「珍しいの乗ってるねぇ!」と声をかけられます。
実際、納車した当日には2回も話しかけられ、ならしツーリングだけで3回も声をかけられました。
話した内容は
- 今でも横に振られるの?(トルクリアクション)
- R1250GSと迷ってたんだよね、ぶっちゃけどう?
- 空冷だよね?やっぱり熱い?
- おしゃれなバイクだね〜!
- 若いのになんでモトグッツィなの?
- お仕事は何されてるんですか?
- どこのお店で買いましたか?
V85TTオーナーが少ないのか、あまり情報がないのでめっちゃ質問されます(笑
これらの疑問に回答する記事もいずれ書こうと思います。
おじさんにはウケがめちゃくちゃ良いですが、若い人は全然認知されていません。
V85TTの悪いところ
防風性の甘さ
V85TTにはフロントカウルが無く、タンク上部から吹き上げる風が胸に強く当たります。
基本的には市街地とオフロードを想定して設計をされているらしいのですが、クルーズコントロール機能が付いているなら長距離走行も想定しているというわけですよね。
長距離走行前提なのになぜ風よけのカウルが中途半端なんでしょう。
私がアドベンチャーとしては中途半端すぎると言う理由の一つです。
引き起こしがめちゃくちゃ大変
"小回りが効く"で紹介したようにV85TTは重心が非常に高いです。
重心が高いということは引き起こしも大変です。
正直いうと、リッター超えのアドベンチャーより引き起こしが大変です。
エンジンガードバーを付けていれば倒れる角度が浅くなりますが、それでも1人では起こせないくらい大変です。
低速時と停車時の不安定さ
先ほど「よく曲がる!めっちゃ安定している!」と書いたばかりですが、それは走行中のみ。
停車時や低速時には振動とトルクリアクションによって非常に不安定になります。
特に停車中はときどき突然右に振られるのでしっかり足で支えてないと、フラつきます。
左足を地面につければ楽なのですが、ギアをローに入れるため支えを右足に変える時に倒れそうになることもしばしば。
ギアポジションがクラッチを切ると見れない
何速に入っているかは速度と回転数によって体感で分かるのですが、本当に知りたい瞬間はクラッチを切っている時ではないでしょうか。
例えば、止まっていてニュートラルに入らない時に、1速や2速以外に入っている可能性がある場合。
ペダルを踏んでもギアが入らないので1速だと思い込み、2速で発進してしまうのを避けたい時などです。
V85TTはエンジンの回転数と速度からギアを計算しているので、クラッチを切っているとギアが分からないという訳なのです。
かゆいところに手が届かない…
まとめ
いかがでしたでしょうか!
ここで一度まとめをします。
良いところ
- 足つきは頑張ればなんとかなる
- 走行モードのレインが走りやすい
- 小回りが効く
- よく曲がる(バイクが寝る)
- バイクに乗せられてる感が無い
- 無給油で連続走行可能距離が500km程
- ブランドによる心の盾ができる
- めちゃくちゃ見られるし声をかけられる
悪いところ
- 防風性の甘さ
- 引き起こしがめちゃくちゃ大変
- 低速時と停車時の不安定さ
- ギアポジションがクラッチを切ると見えない
正直言うと、アドベンチャーバイクとして購入すると絶対に後悔すると思います。
国産アドベンチャーの方が性能や機能は格段に良いでしょう。
でもやっぱりこのカラーリングやスタイルには女子ウケがよく「おしゃれ!」「カワイイ!」と言ってくれます。
そういう意味ではV85TTのライバルは不在と言えるのではないでしょうか!