東京モーターショー2019にてカワサキから発表されたNinja ZX-25Rは何年振りかの新しい4気筒250ccバイクとして話題になりました。
今までに4気筒250ccのバイクはどんなものがあったのでしょうか?調べてメーカーごとにまとめました!
ホンダ
CBR250FOUR(MC14)
1986年に発売されたCBR250FOURはCBRシリーズで初の250ccクラスのCBRとなりました。1980年代に400ccクラスのバイクで4ストローク並列4気筒エンジンがブームとなり「4ストローク4気筒を250ccにも欲しい」という声に真っ先に応えたスズキ(1983年GS250FW)とヤマハ(1985年FZ250 PHAZER)の後を追うように開発されました。
エンジンにかなりの費用をかけたこともあり、CBR250FOURに搭載された水冷4ストローク4気筒エンジン(MC14E型)はそれ以降のCBRシリーズにも長くにわたって採用されることになりました。
CBR250R(MC17)
1987年に発売されたCBR250R(MC17)はレーサーレプリカ全盛期というこもあり、CBR250FOURからわずか1年でモデルチェンジされアンダーカウルやセパレートシート、リアブレーキのディスク化がされ名前にもRが付きました。ペットネームにハリケーンと呼ばれましたが定着しませんでした。
エンジンはCBR250FOURのMC14E型にキャブレターの口径拡大や吸気バルブの大経細軸化、レブリミットを18,000rpmへ引き上げ、ステンレス製の排気管の大容量化の変更を加えたMC17E型となります。
CBR250R(MC19)
1988年に発売されたCBR250R(MC19)はまだレプリカ全盛期の中、当時はよりレーサーレプリカらしいデザインとなりました。こちらもCBR250R(MC17)から1年でモデルチェンジとなりましたが、フロントディスクブレーキがダブルからシングルに変更されました。当時250ccでもトリプルディスクが当たり前のようになっていた中で、シングル化されたことでレーサーレプリカとしての評価は大きく下がってしまいました。
エンジンはCBR250R(MC17)のMC17E型にエアクリーナー容量の大型化にキャブレターの大口径化、燃料ポンプを搭載に変更されたMC19E型になります。
CBR250RR(MC22)
1990年に発売されたCBR250RR(MC22)はCBR250R(MC19)のフルモデルチェンジ車となり、今現在でも語られるほどの完成度の高いバイクになりました。
エンジンは以前のCBR250R(MC19)同様MC19E型ですが、キャブレターから燃焼室までのポート形状を再設計され一直線化され、フロントディスクブレーキが再びダブルになり、マス中心化と低重心を狙ったLCGフレームに変更されました。フレーム変更により足つき性が向上しCBR250R(MC19)のシート高750mmから720mmになりました。
発売以降2000年までの約10年間も生産され、今でもCBR250RR(MC22)を愛用している人は多くいます。
JADE:ジェイド(MC23)
1991年に発売されたジェイドは1989年にカワサキから発売されたゼファーの登場によりレーサーレプリカブームからネイキッドブームに移り変わった流れでCBR250FOURのエンジンを積んだネイキッドバイクとなりました。同時期に発売さていたCBR250RR(MC22)と共用部分が多いですが、中低速のトルク重視のチューニングが施されました。
モデルコードがCB250となりCBシリーズはCBRシリーズのネイキッド派生というイメージが強くなりました。
HORNET:ホーネット(MC31)
1996年に発売されたホーネットはジェイドのモデルチェンジ車としてアップマフラー、極太タイヤに変更され250ccクラスでは最大のタイヤサイズになっています。
2007年に平成28年の排ガス規制により生産終了となり、ホンダ最後の4気筒250ccバイクとなりました。
ヤマハ
FZ250 PHAZER(1HX/1KG)
1985年に発売されたFZ250 PHAZERは250cc水冷4ストローク直列4気筒のエンジン(1HX型)を搭載したヤマハ初の250ccクラス4気筒バイクです。ZF250 PHAZEZRも250ccクラス4気筒バイクが求められた声に応えたバイクです。
FZ250 PHAZERはエンジンを45度前に傾け吸気ラインを一直線化させ、磁気ポンプやダウンドラフトキャブレターを採用し、一般車では初の16,000rpmと高回転のエンジンとなりました。
フレーム内にラジエーターの冷却水を通すという方法によりラジエーターの小型化さらに軽量化につながりました。(開発者インタビューではラジエーターを大型化するのと同じくらいの効果があったと言われている。)
前期型である1HXと後期型の1KGが存在し、後期型である1KGはカラーリングやマフラー、リアブレーキがドラムからディスクへ変更されました。
FZR250(2KR/2RG)
1986年に発売されたFZR250はFZ250 PHAZERをベースにレーサーレプリカとして仕上げたバイクです。こちらもレーサーレプリカブームに合わせセパレートハンドル化やセパレートシート、丸目2灯ヘッドライトに変更されました。
FAI(フレッシュ・エア・インテークシステム)によりフロントカウルの横に開いた穴から空気を取り入れてキャブに取り入れる機構を搭載しました。
FZR250(3HX)
1988年に発売されたFZR250(3HX)は前型の2KR/2RGにヤマハ独自の排気システムのEXUPを搭載され細かな部分も改良されました。
EXUPは可変排気システムで回転数に応じて排気圧を調整するシステで、4ストローク250ccバイクでは初めて搭載されました。
FZR250R(3LN)
1989年〜1993年に発売されたFZR250Rはダイヤモンド構造のアルミデルタボックのフレームとスイングアームを採用され剛性や足つきが向上し、さらにエンジン内部設計を見直しされました。
約1年ごとにマイナーチェンジされデザインの変更や改良を重ねていきましたが、1993年に40馬力に自主規制され1994年モデルにカラーリング変更でFZR250Rは生産終了となりました。
FZX250 ZEAL:ジール(3NL)
1991年に発売されたジールはFZR250Rのネイキッド版として販売されました。こちらも例にならってレーサーレプリカからネイキッドブームに移行につれて開発されましたが馬力自主規制により40馬力となります。
高回転重視だったFZR250Rに対しジールは中低速にパワーが振られるようにセッティングされ、EXUPも採用されませんでした。
スズキ
GS250FW(GJ71A)
1983年に発売されたGS250FWは世界初となる250ccクラスの水冷直列4気筒エンジンを搭載したバイクです。400cc4ストローク4気筒がブームになっていたころ「250ccにも4気筒が欲しい」という声に真っ先に応えたのがスズキでした。
36馬力と他社の250cc4気筒バイクと比較するとパワーは劣りますが、GS250FW発売当時は250ccクラスで最高馬力でした。その後、他社の250cc4気筒バイクが登場したことで存在が薄れていきました。
GF250/GF250S
1985年に発売されたGF250はGS250FWのネイキッド版として販売されました。
ホンダのCBR250とヤマハのFZ250に比較されて馬力がないと言われていますが、それに対抗するようにレーサーレプリカ仕様45馬力のGF250Sが販売されました。45馬力が出せなかったわけではなくGS250FWはあえて「45馬力を出さなかった」というオチでした。
GSX-R250(GJ72A)
1987年に発売されたGSX-R250は新設計された水冷4ストローク直列4気筒エンジンを搭載しており、当時は馬力がステータスのような風潮だったため、45馬力を14,500rpmで出せるというパワーに全振りしたようなバイクに仕上りました。
その後1989年にさらにスポーツ走行に向けたセッティングがされたGSX-R250Rが販売されました。
GSX250S COBRA:コブラ(GJ73A)
1990年に発売されたコブラはGSX-R250Rのネイキッド版として販売されました。カウルを取り払っただけなので中身はそのままGSX-R250Rのです。
Bandit250:バンディット250(GJ74A)
1989年に発売されたバンディット250はマイナーチェンジにより前期型、中期型、後期型とおおよそ3種類に分けられ、エンジンはGSX-R250Rと同じですがフレームはバンディット400と共用されています。
セパレートハンドル仕様とバーハンドル仕様が存在し、1992年から発売された中期型からは馬力自主規制により40馬力となりました。
ACROSS:アクロス(GJ75A)
1990年に発売されたアクロスはGSX-R250のエンジンを搭載していますが、ガソリンタンクにあたる部分がメットインになっているのが特徴なツアラーバイクです。
しかしタンク部分をメットインにしてしまったためガソリンタンクがシート下に設置され、タンク容量はツアラーにしては少ない12Lとなりました。
タンク部分がメットインになったバイクはアクロスが初となりましたが、その後にホンダのNS-1やNCシリーズにも同じようなメットインを搭載したバイクを出しました。
GSX250S KATANA:カタナ(GJ76A)
1991年に発売されたGSX250SカタナはエンジンこそはGSX-R250(40馬力自主規制)と同じですが、GSX1100Sのデザインコンセプトを250cc専用設計で再現しました。
このカタナの他にもカタナの名を持つバイクが多数存在し、機種名もややこしいためここでは割愛します。
カワサキ
ZX250/ZX250R(ZX250A/B)
1989年に発売されたZXR250はレーサーレプリカブームに乗ってカワサキ初の250cc水冷4ストローク並列4気筒エンジンが設計され搭載されました。
フロントカウルの上側から伸びるホースはエンジンヘッドに直接空気を当て冷却するK-CASシステムにK-RASというラムエアシステム(空気を積極的に取り入れる機構)が搭載されています。
ZX250/ZX250R(ZX250C/D/C3)
1991年に発売されたZX250はモデルチェンジされ1眼ヘッドライトに変更され、1993年にはZX250C3自主馬力規制により40馬力になりました。
BALIUS/BALIUS2:バリオス(ZR250A/B)
1991年に発売されたバリオスは250ccネイキッドの火付け役となり、高回転型の4気筒エンジンの甲高い音が特徴で、コールで有名なバイクです。
1993年移行のバリオス2はZX250と同じく自主馬力規制により40馬力となりました。
Ninja ZX-25R
2019年の東京モーターショーにて発表されたNinja ZX-25Rはかなり昔から水面下で開発されていると噂されていました。ついにベールを脱ぐことになったわけですが、その背景にはCBR250RR(MC51)のように高価な250ccバイクが売れることが分かったからでしょう。
再びレーサーレプリカ(フルカウル)ブームが到来している現在、他社からも4気筒250ccが開発されるだろうと容易に予想できます。